岡村賢一がアメリカに留学してニッチな研究をしている間に考えた事

知識も経験もない僕が、小児心臓外科医になってアメリカ留学に至った経緯や留学の様子を綴ります。ほかにも若手医師のキャリアアップにつながる情報を発信していきたいと思います。それと35歳からUSMLEに挑戦していますので、その経過もお伝えしていきます。

ビザのあれこれ〜J-1よりもH1Bがいい??〜

こんにちは。岡村です。

 

巷は、ハローウィーンとAirpods proの発売でざわついているようですが、御構い無しに留学の話をしたいと思います。

 

 

今日はビザについて少し書きたいと思います。

その前にまず、アメリカで日本人医師が働くのに、どういうパターンがあるか考えてみました。

  

パターンとしては以下の3つが多いと思います。

 

・学生〜研修医までにUSMLEをstep1, step2CK, step2CSまでpassして(渡米してからでも良いからstep3も)、各種レジデンシープログラムに正規で入るという兵。

 

・医師7〜10年目くらいまでにUSMLEをpassして(可能なら渡米前にstep3まで)、フェローのポジションで渡米する。

 

・僕のように無資格の場合は、なんとか研究のポストを見つけてリサーチャーとして渡米する。

 

 

上2つを考える場合、言わずもがな、USMLE受験が必須です。

研究ポストの場合、いつかは必ず帰国しなければなりません。

 

 

USMLEは、step1, CK, CSまでとればECFMG certificateが発行されますので、多くの施設で働くことが可能になります。。。

 

が、この場合Visaは往々にしてJ-1Visaになります。

 

(そもそもVisaというのは、働く施設がsupportしてくれるかどうかで決まるので、奇跡的にCSまででもH1Bをsupportする施設はあるのかもしませんが、僕が知る限りそんな人いません。)

 

step3までpassした場合のメリットは、H1Bをsupportしてくれる施設が増えることです。

step3を取得していても施設によってはJ-1を提示してくることがあると思いますが、その場合は全力でゴネたほうがいいです。

 かくいう僕は、そもそも研究留学で無資格ですので、J-1で入国しています。

 

 

 

では次に、何故J-1よりもH1Bが良い?のか考えてみます。

 

何故J-1よりもH1Bが良い? 

その①

まずはじめにJ-1ビザの''two year rule''が原因だと思います。

 

ネット記事を読んでいて誤情報が散見されたので確認ですが、J-1ビザにおける''two year rule''=''2年で帰国しなきゃいけない''は誤りです。

 

正しくは、

two year ruleとは、プログラム終了後に自国または渡米前に居住していた国に、少なくとも2年間居住しなければ移民ビザ、婚約者ビザ、短期就労ビザまたは企業内転勤者ビザが発行されない。

というルールです。

 

つまり、帰国後に2年間は自国に滞在しないと、もう一回渡米できないですよー、という縛りのことです。

 

正確な情報は常にアメリカ大使館ホームページや各種アメリカのサイトを探すほうが情報が正確ですので、まずはこちらを参照してみてください。

www.ustraveldocs.com

 

 

 

そして、さらに重要なことは

two year ruleはJ-1ビザの全員に適応される訳ではありません!!

 

これも結構、皆さんが知らない事実かと思います。

 

ちなみに僕のJ-1ビザは以下の通りです(赤枠に注目)。

f:id:doctor-hummingbird:20191031064518j:plain

 

では、two year ruleが適応される人とされない人の違いはなんでしょうか。

 

それは、ビザ申請のためにアメリカ大使館で面接を受けるときに、DS-2019(留学先から発行される就労許可証)のtwo year ruleの項目に面接官がチェックを付けるかどうかで決まります。

実際に面接に行くと分かりますが、面接官がチェックボックスにチェックを入れるのを目の当たりにします。

その時は、内心結構ヒヤヒヤしました。

 

付け加えますと、おそらく医師が研究留学する場合は、多くは対象にならないと思いますが、two year ruleが適応されている先生もいるので、僕には詳細な基準はわかりません。

 

 

何故J-1よりもH1Bが良い?

その②

DS-2019が基本的に1年更新で、多くの場合、毎年領事館に出向いてビザの更新手続きをしなければならない、ことがあると思います。

 

僕は、まだ渡米したばかりで聞いた話ではありますが、毎年領事館に行くのは面倒だなぁと思っています。

 

中には、1年で切れたJ-1ビザのまま滞在している留学生もいます。実際。

この場合、2年目以降にアメリカでの生活に支障はありませんが、万が一帰国しなければならない緊急事態(家族の不幸とか)があった際に、再入国ができなくなるという点でリスキーなのかなと思います。

 

DS-2019が2年更新の留学生もいるようですが、どうやって決まるのかは分かりません。

 

何故J-1よりもH1Bが良い?

その③

J-1ビザでアメリカ滞在中に、一時的に海外旅行に行く場合や日本に戻る場合、DS-2019に一筆サインをもらう必要がある、というのもJ-1が面倒な要因の1つです。

 

アメリカは移民国家ですので、各所属施設には必ずInternational officeみたいな部署(外国人を対応する部署)があると思います。

 

そこに出向いて、事務所のおじさんに理由を伝えて、DS-2019右下のTRAVEL VALIDATION BY RESPONSIBLE OFFICERという欄にサインしてもらう必要があります。

 家族同伴の場合、家族全員のJ-2ビザにもサインをもらう必要があります。

 

1度もらえばDS-2019の期間内は何度でも海外に行くことは可能になりますが、DS-2019が基本1年更新で、普通は年に何度も海外に行く訳ではないので、結局のところ一時帰国の度にInternational officeに出向く必要があります。

 

 

何故J-1よりもH1Bが良い?

その③

J-1ビザでの滞在は、原則5年間が最大となる、ことも要因の1つかと思います。

www.immi-usa.com

こちらも↑を参照して頂ければと思いますが、

  • Teachers, scholars, researchers, and professors – five years.

とあります。

しかも、僕が所属するStanford大学では、title(日本でいう肩書き。助教とか、大学院生とか。)によって大学がDS-2019を更新してくれるかどうかが決まる、と上司に言われました。

 

つまり、J-1だからって5年間必ず更新できるとも限らないんです。

 

僕は幸いVisiting Instructor(客員講師)というtitleなので、更新がしやすいらしいですが、よくあるPostdoctoral fellow(いわゆるポスドク)だと2年でバッサリと帰らされるそうです。。。

 

今日はこのへんで。