岡村賢一がアメリカに留学してニッチな研究をしている間に考えた事

知識も経験もない僕が、小児心臓外科医になってアメリカ留学に至った経緯や留学の様子を綴ります。ほかにも若手医師のキャリアアップにつながる情報を発信していきたいと思います。それと35歳からUSMLEに挑戦していますので、その経過もお伝えしていきます。

留学までの道のり〜あっという間に医師10年目になっていた人へ(僕のこと)〜

こんにちは、岡村です。

 

ところで、僕がレジデントの頃に留学に関して一番疑問に思っていたことは...

「そもそもコネも学もお金もないのにどうやって留学するんだろう」

ってことでした。

 

そこで、読んでくださっている方がもし(だいたい)医師6年目を過ぎていたら、なんなら既に僕と同様に医師10年目を過ぎている場合に、どうしたら留学に至れるのか考えてみました。

 

 

 

結論、留学したければ国際学会に参加しよう!

 

 

 

僕なりに考えた答えが国際学会への参加です。

もちろん、出来ればプレゼンがあるといいですし、学会期間を利用して近隣の有名施設に見学の申し込みをするのが良いと思います。

 

正直、日本国内の学会でいくら発表をしても、将来のキャリア形成においては、あんまり役に立ちませんし、留学のチャンスを得るのはかなり厳しいのかなと思います。

 

もちろん、日本国内とはいえ学会発表をすること自体を否定するわけではありません。

 

僕は、現在医師11年目で、今年で

American Heart Association(AHA)で3回

European Sociaty for Cardiologyで1回

International Heart and Lung Transplantation(ISHLT)で2回

European Association for Cardio-Thoracic Surgery(EACTS)で1回

Asian Society for Cardiovascular & Thoracic Surgery(ASCVTS)で1回

の計8回の発表をしました。

(日本国内での発表は地方会も含めると40〜50回はしたと思います。)

 

中でも僕が留学のチャンスを得たのは、2017年に参加したAHAの時でした。

その話は後ほどいたします。

 

 

国際学会に参加すると気づくのですが、日本人は発表内容そのものが劣っているということはありません。

ですので、普段日本語で書いている抄録を英語にするだけで、十分に国際学会に採択される可能性はあると思います。

もちろん、国際学会の抄録作成には、日本語以上にノウハウはありますが、このご時世たくさんのHow to本がありますので、まずは真似をしてみるところから始めれば良いと思います。

 

ちなみに、国際学会の抄録および発表において最も役立つ本は、東京大学呼吸器外科 佐藤雅昭先生のシリーズです。中でも「流れがわかる学会発表・論文作成How To」はオススメです。

流れがわかる学会発表・論文作成How To 改訂版 ―症例報告、何をどうやって準備する?

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僕が今までに読んできたHow to本の中で、この本を超えるものはないと確信しています。本当にオススメです。

 

 

 

一方、日本人の英語は、他の英語を母国語としていない国の先生より圧倒的に劣っていると思います。。。かくいう僕も英語が苦手です。

 それでも国際学会に採択されると...

 →英語の練習を否が応でもすることになる

 →実際発表すると、やっぱり英語力のショボさに泣きそうになる

 →英語勉強しなきゃなーと思い帰国する

 となりますので、少しずつですが英語に触れる機会が増えていき、帰国してからも英語を続けるモチベーションにもなります。ですので、国際学会の発表を継続することで英語力の向上にも繋がるのです。

 

 

さて、僕の留学までの経緯について少し書きたいと思います。

2017年にアナハイムで開催されたAHAで発表の機会を得た際に、発表だけではもったいないなぁと思い、カナダはトロントにあるSick Kids Hospitalとアメリカはカリフォルニア州にあるStanford Universityの手術見学をしてみようと思い立ちました。

 

各施設のホームページから、スタッフのメールアドレス宛にダメ元で手術見学のお願いをしてみたところ、2施設ともに快くOKをいただき、秘書さんを通じてたくさんの書類の提出やワクチン接種など色々ありましたが、なんとか見学することが出来ました。

 

Stanfordの見学の際に、スタッフの先生から

ス:「AHAの発表はどんな内容ですか?」と聞かれて

僕:「大学院の研究内容で、カクカクシカジカです。」って答えたら

ス:「2年後だったら研究のポストが空くと思うけど、ウチくる?」と言われたので

僕:即答で「行きます!」

と答えました。

この時点で口約束ではありますが、留学がなんとなく決まりました。

 

それから口約束を確約にすることも結構大変でした。

帰国後も豆にメールをして、その1年後にもう一度渡米して研究室に挨拶をしてラボメンバーに顔を覚えてもらい、ビザの準備や助成金の準備を進めていきました。

 

 

ところで、医師の留学の機会について少しだけ考えてみたいと思います。

僕の周囲の先生の様子や僕の経験から思うに、気力・体力だけでなく職場での立場・家族の状況などを考慮すると、30代〜せいぜい40代前半までの10年位が現実的な留学開始可能時期で、ほとんどの場合は人生に1〜2回しか訪れないのかなぁと思います。

 

そう考えると、留学って一期一会というかone chance, one makeというか、そのチャンスを逃した先生はもう次は来ないと思った方がいいのかなと思っています。

 

すでにUSMLEやIELTSをpassしている先生は、この限りではないと思いますが、僕のように凡人には人生で1回しか訪れない貴重な機会なのかなと思います。

 

今日はこの辺で。